インドめし【番外編】 ~がっつりベジタリアン


インドで飯を食おうと店に入るとき、必ずと言っていいほど、“Veg.”“Non-Veg.”の表示がある。


ヒンドゥー教徒はビーフを食べない。ムスリムはポークを食べない。夫婦喧嘩は犬も食わない。色んな人種と宗教の入り混じるインドだからこういう配慮があるのだろうな、くらいに思っていた。

しかし、この話題になるとインド人スタッフ(ベジ派)は、
「宗教的背景は2次的なもので、必然性によるもの」と言う。さらに、
「インドには豊富な野菜・穀物・果実そして香辛料があり、それらを利用した様々な料理がある。私が育ったそういう環境では、それ以上に必要な食べ物は無かった。Non-Vegフードは比較的高いし、動物を殺してまで食べる意味が無い。」と加える。


この言葉に最初は意外に思ったが、すぐにその意味を理解した。インドにおける自分の食生活を振り返えると、肉料理は極端に少なかった。

肉料理にはインパクトがある。日本で俺は、ガッツリ食いたいときは肉料理か、チーズこってり系料理、カレーなどに走った。
インドにはチーズ系、カレー系の、味の強い料理はたくさんある。割高の肉に行かなくても、満足感たっぷりの料理がいくらでもある。

今日のランチもガッツリ系! ・・・でも肉の姿は無い。
左:Stuffed Tomato / 右:Daal Tadka(豆料理)とJeera(クミン)Aloo(イモ)

西新宿の会社の近くにときどき行く喫茶店がある。ランチのカレーがうまい。ここのカレーは一品だけ、「野菜カレー」である。もちろん、具は野菜だけである。
一方、定食屋などで「野菜炒め」を頼むと、必ず肉が入ってくる。肉が無いと料理としての印象が弱すぎるのだと勝手に想像する。

ちなみに、年寄りは食わないのに鍋に肉を入れる。逆に、炊き出しで「肉・魚・卵を使わないで美味しく作って欲しい」と言われて苦悩したこともある。(きのこ主体のアンかけ丼で乗り切った)
肉を使わないのはゴマカシが効かなく、結構大変である。

一方、必ずしも肉を必要としないインド料理には、懐の大きさを感じる。野菜のみでも物足りなさを感じさせない底力を感じるのである。