ビサヤ諸島-1_灼熱のパナイ


マニラで所用を終え、近郊のスービックで知り合いを訪ねた後、飛行機が出ているクラークまでバスで移動し、ここから本格的に旅を始めることにした。

当初、ミンドロ島からビサヤ諸島を回り、100peso札にも描かれる高名なマヨン山に登れれば満足いくだろうと思った。しかし、クラークからミンドロ島にはフライトが無いという。仕方がないので、ビサヤ諸島北部のパナイから旅を始めることとした。


パナイ島北部のカリボに着いたのは16時過ぎだったがまだまだ明るかった。空港を出てチャリを袋から出していると30人くらいの人だかりができ、パタパタっと10秒くらいで組み立てると歓声が上がった。子供のように好奇心で目を輝かせている純粋な人たちだ。

街の方角を聞いて、陽が暮れる前に走り出す。市街までは数十分ですぐに到着。1日目はこれだけで、夕暮れ美しいカリボ泊。


翌日、アジア一美しいとか何とか言われているボラカイ島(パナイ島に隣接)を見に行くことにした。距離を調べるとカリボから片道65km、日帰りのつもりなのでチャリで行くのはツライ。結局、チャリを畳んで荷物とし、バスで行くことにした。


島へは船で移動。波止場からビーチまでは少し距離がある。チャリ持ってきて良かった。


キレイといえばキレイだけど・・

 

予想通りの人混み。こんな所でノンビリできるか?

がしかし、この島の不思議なところは、ほんの少し足を延ばして名の知れないビーチに行くと全然ヒトが居なくなるのである。


海はええのぉ・・ ランチから夕方までゆっくりし、同じルートで戻り、再度カリボ泊。



さて3日目、チャリでロハス・シティを目指す。距離は80km。ロードライドとしては決して長い距離ではない。


ゆっくりと腹ごしらえをしてから出かけよう。フィリピンでは街のどこかで必ず出来合いの定食屋さんがあるので、美味しそうなオカズと米を頼めばお腹はいっぱいになる。

個人的な意見だが、メシはホテルで食わないで街で食べる方が3倍美味しく、値段は1/3だ。 


勇んで出かけるも、当然暑い。今の時期のフィリピンは乾季の終わりで雨など降らず、最も酷暑期、暑い暑い。まだサドルに慣れないのか、ケツも痛い痛い。


椰子の木と田んぼ、という東南アジアにはどこにでもある風景だが、乾季だから水が無い。


風は絶えず吹いているので、日陰に入れば実にいい気持なのだが・・

ひぃひぃ言いながら、昼ごろに通りがかった食堂でランチ。


この店は他の客がイカスミ料理を多く頼んでいるようなので、見習ってみたが確かにうまかった。左のゴーヤチャンプルーはインドネシアでもベトナムでも食べた。暑い地方の国際料理のようだ。


その後も、各地で3-4回給水し、何とかロハス・シティ到着。もうダメ、80kmってもう十分。3日目終了。


翌日、ロハス・シティからパナイ島南部の港町イロイロまで目指す。距離は120km、多分ムリだがバスが結構走っているみたいだから、リタイヤして途中で拾ってもらおうっと(折り畳みチャリ冥利)


気が楽になって取った朝食は、ちょっと肉ニクし過ぎたか・・


 福山通運発見!途上国では日本の中古車をよく見かける。ラオスでは元・佐川急便が走っていた。


 島の中央を縦断するため、やや内陸高地っぽい雰囲気もあるが、暑いのは変わらない。35度位の熱風を爽やかに受けながらヒタスラ南下する。

フラフラしてきた頃、昼を迎えた。丁度いいときに街らしきところに到着。正直、暑さに参って食欲すらなく軽く気持ち悪い。ここならバスにも乗れるだろうし、リタイヤを検討。

とりあえず休もうと、とある食堂に座らせてもらう。(店員)「何か食うか?」 (俺)「・・・ じゃ、何かスープと一品くれ」


コレ(柑橘系の酸っぱいスープと多分ナスを焼いて中身をココナッツミルクでソテーしたか煮たもの)が涙が出るほどウマかった。夏バテ状態なのに一口クチにした途端、抑えられないほどにガッツいている自分に気付いた。
(このナス料理がフィリピン滞在期間でベスト料理だったが、この後二度と巡りあう事は無かった。)


素晴しいメシのあと、 「行ける所まで行くか」。


何故か前向きになった俺は、更に灼熱ライドを続けた。しかしムリなものは無理で、店があるごとにボトル用ミネラルウォーター・冷水(多分蒸留水)・氷の3点セットを購入(計80円位)し、何とか生き延びた。冷水はかぶり、氷はメットにぶら下げて首の後ろを冷やした。

結局、ロハス-イロイロを無事走り切り(結構余裕があった)、4日目、灼熱のパナイライドを終了した。