初めて鹿児島にやってきた。
市電と徒歩で港に行くと、桜島が目の前だった。公園の芝生の上で昼飯を食いながら高速船の時間を待つ。さすがに鹿児島はあったかい。
フネで屋久島に渡る。当然目的は宮之浦登山である。南寄りの淀川口から登り、北寄りの白谷雲水峡に降りるルートとしたので、淀川口に近い安房港から入り、白谷に近い宮之浦港から出る計画である。
安房でテン泊した翌朝、他に誰も乗っていないバスで紀元杉まで行く。ここから出発である。
登山道を歩いていくと、名もなき大木が散見される。
天気は良いが、木曜日と言うこともあって、登山者は少ない。
この時期の花ノ江河には、花は無かった。
焼酎でも有名な屋久島の三岳は、宮之浦岳、永田岳、黒味岳(栗生岳という説もある)の3山である。
とりあえず、南寄りの黒味岳を目指す。
黒味岳山頂、天気は良いが、眺望はイマイチ。宮之浦岳などの山は見えない。
早々に日が暮れはじめ、投石岩屋に避難する。
この岩屋はテントが一つしか張れず、風の通り道で落ち着かないので宿泊地としてアテにしてはいけない。
翌日、どんどんど朝霧は晴れて行った。宮之浦方面はほぼガスが取れている。
栗生岳の登りから南側を振り返る。相変わらず登山者はまばら。
誰もいない宮之浦岳山頂。風は強いが見晴らしはいい。
三岳の最後、永田岳が豪快な佇まいで待っている。
誰もいない静かな笹原を一人歩いてゆくと、大雪山を思い出す。北海道では熊とハチ合せにならないかビクビク歩いていたが、長そでTシャツで十分なポカポカ陽気の中、ここでは心底のんびりできる。
永田岳山頂、宮之浦岳を眺めながら昼飯。アルファ米は嫌いな人も居るらしいが、俺は好きである。特にもち米系はとてもウマくて好きである。
三岳を済ませ、宮之浦岳を背にさらに北上する。
少しずつ高度が下がり、紅葉も見られるようになる。
森も茂みが増し、屋久シカや屋久サルも多くみられるようになる。
新高塚小屋、どこから集まって来たのかここには人が多い。15人くらいの団体が来たため、小屋は寿司詰め、寝返りも打てないような混雑となり、結局外にテントを張る。
3日目、雨の多い屋久島で2日も晴れてくれたから「もう降ってくれても文句ないぞ」と思っているとやっぱり降り出した。雨の中身支度をし、1時間歩けばもう縄文杉である。少しいるとひとりになった。こういう場所は一人でいた方が雰囲気を味わいやすい。ずっと見ていると何だか生き物のように感じる。あ、生き物か。
ウィルソン株まで来ると、新高塚からの先行グループや、早朝入山の逆行グループに会って人が多くなってきた。
株の中から上を見るとハート形に見える、ということになっているが、これはとても変な位置からかなり不自然な姿勢を取ることでやっとそれらしく見える。
多くなってきた人と道の譲りあいとすれ違いを繰り返しつつ進むと、かつて伐採された屋久杉の運搬に使われたトロッコのレールに出る。この道は快適。
縄文杉に向かう団体客やガイドツアーは、同じような時間に同じように行動するので、人が多い場所は限られていた。ここからはまた閑散としていた。
白谷へ向かうため、トロッコ道をはずれ、再び山道へ。
幽玄なコケとスギの森は、熊野古道を彷彿とさせる。
場所によってはかなり良く似ていた。屋久島までなかなか足を延ばせない人は熊野古道を歩けば聖なる森を感じることができると思う。
辻峠を越えて白谷雲水峡へ。出口付近には弥生杉がある。何でも縄文杉より古い(樹齢3000年)とか。
今回俺が歩いた同じルート(黒味と永田は飛ばしたと思うけど)を2日で済ます年配のグループもいたので、3日かけた俺はかなりのんびりした行程だった。登山経験の無さそうな縄文杉までの日帰りグループも多かったが、彼らの方がよっぽど大変だったと思う。ゴクローサン!
(←次の投稿 クリックで指宿・開聞岳編につづく)
≪行程≫
鹿児島空港~(高速バス)~鹿児島中央駅~(市電)~いづろ通/ガスカートリッジ購入~鹿児島港~(高速船)~屋久島/安房港【キャンプ-1】~(バス)~紀元杉~淀川登山口~花ノ江河~黒味岳~【キャンプ-2】~宮之浦岳~永田岳(往復)~新高塚小屋【キャンプ-3】~縄文杉~楠川分かれ~弥生杉~白谷雲水峡~(バス)~屋久島/宮之浦港~(高速船)~鹿児島/指宿港~指宿市内【ホテル】