南アルプス“縦”走記-3/5_赤石岳~荒川岳~塩見岳


《4日目》

テン場を出ていつものようにゆっくり歩き出す。朝日が中盛丸山を照らす。今日も快晴微風、いい天気だ。

小兎にかかる朝霧もすぐにとれた

すぐに百間平に出る。ハイマツの甘い香りが漂っていて平和な雰囲気。

チングルマの綿毛が朝露に濡れて光っている

ここからイキナリ赤石岳への取り付きであるが、トラバース気味に登っていくので急登ではない。西側からのアプローチなので日陰でちょっと寒い。


大きな山ではこの赤石が一番楽だったかも。頂上には人が数名。


さて、ココからが本番。前岳・中岳・悪沢岳、の荒川三山(荒川岳)を見据える。


とりあえず荒川小屋。ここにベースを張って荒川岳まで往復しようかと思っていたが、時間があるので荒川岳を登り、さらに高山裏非難小屋まで行くことにする。


荒川岳への登りの途中、赤石と荒川小屋を振り返る。


荒川岳の山腹ではシナノキンバイの群生が登りの苦労を和らげてくれる。


中岳で稜線に出る。中岳非難小屋に荷物を降ろし、軽装となって悪沢岳まで脚を伸ばす。


1時間歩いて悪沢岳。中岳方面を振り返る。

一番高い中岳ピークの右下、よーく見ると非難小屋が見えマス

中岳に戻ると、茶臼・茶臼・百間洞、と3晩同宿だったニーちゃんが既にチューハイをぐびぐびやりながら迎えてくれた。彼はいつも俺より早く歩き終え、小屋の前で飲んでいる。今日はこの非難小屋に泊まるという。

駄弁っていると同じく百間洞から来たK君が追いついて来た。今日は俺と同じ高山裏まで行くと言うので一緒に行くことにした。

前岳から高山方面は険しい岩稜歩き、


かと思いきや突然の急斜面の下り。

登りはさぞ辛いだろう・・・

ひたすら岩場の下りをガンガン降りていくので足の裏がじんじん痛む。


K君と励まし合いながら何とか高山裏非難小屋のキャンプ指定地まで辿り着いた。

この日が一番疲れたかも。


《5日目》

翌朝、早起きのK君が先に出る。俺はゆっくりと支度して5時出発(4時半にヘッドライトが要らなくなり、5時はすっかり明るい)。申し訳ないがこの日も天気はいい。この辺りは南アルプスでも西部なので、中央アルプスが近い。千畳敷やその向こうの御嶽(おんたけ)山までハッキリ見える。


なだらかな稜線の向こうに、最初の目標、小河内岳。


この尾根は緩やかで歩きやすい。


小河内岳避難小屋でK君に追いつく。ここからまた一緒に歩く。


ここまで来ると今日の最終目標の塩見岳の他、間ノ岳・北岳・甲斐駒・仙丈が確認できる。


松虫草の群生地を過ぎ、三伏小屋でひと休憩。


ホシガラスと仙丈ヶ岳

塩見までの行程は長い。が、変化があるのが救い。稜線を下りて森に入る。


森を急登で抜けると、いつの間にか塩見岳山頂が眼前に。K君は塩見小屋に泊まるので、お互いの健闘を祈り、ここで分かれる。


頂上はここから更に1時間。ストックをしまって岩登り。


塩見岳西峰、苦節9時間、疲労が安堵に変わる。


東峰から明日の目標、農鳥方面を眺める。


今回の本当の目的は、未知の世界の光岳~塩見岳を歩き回ることだった。その目的を最高の天候下で達成することができた。

塩見を下り、百間洞で会ったおじさんに勧められたテン場で幕営する。塩見小屋で買ったビールで前半戦の見事な結果に乾杯、この旅の幸運を噛み締めた。

こまめに洗濯、身体も沢で洗う。清潔さを保つ事が長丁場の秘訣!


【行程】
4日目
百間洞山の家 5.10 - 赤石岳 - 中岳 10.10 - 悪沢岳 - 中岳 14.10 - 16.30 高山裏非難小屋

5日目
高山裏非難小屋 5.00 - 三伏小屋 10.00 - 13.00 塩見小屋 - 14.00 塩見岳 - 15.30 テン場