朝ドアを開けると、あの甘い香りがする。見回しても見つからなく、駅に向かって少し歩いたところにやはり金木犀があった。
秋の訪れを告げるものは色々あるが、自分の体で感じるものとなると、金木犀の香りが代表格ではないか。
9月のビアガーデンもフツーは秋っぽいが、今年は暑かったので感じなかった。
また鈴虫は夏でも意外と鳴いているし、朝夕の涼しさは秋だけのものではない。紅葉するのはかなり寒くなってからだ。ビールの秋バージョンは夏から売り出すし、サンマは自分で釣ったわけじゃない。
意外と秋のメッセンジャーは少ない。
秋の訪れにはどことなく寂寥感を感じてしまう。そして俺は秋冬の楽しみ方が下手なのだろうか、と悩むのである。