161019_八甲田山

お岩木山の翌日、酸ヶ湯(すかゆ)温泉にやってきた。もちろん臨むは八甲田(北八甲田連峰)である。


駐車場の空気は着替えるのが億劫なくらい冷涼であったが、すぐに心地良い日差しに包まれた。


他の東北の山々のように緩傾斜が多く、どんどん進む。当初、下の行程を予定したが、澄んだ空気と眺望に魅せられ、小岳の先の高田大岳まで往復、さらに大岳の後、赤倉岳まで寄り道してぐるっと大回りすることにした。


仙人岱から、あまり大きくない大岳を横目に、 


やっぱり小さい小岳に向かう。


小岳から、さらに奥に見える高田大岳。


途中、右手には南八甲田のなだらかな山並み(トレランで行ってみたい!)と、その向こうに十和田湖(白く雲がかかっている)、さらに岩手山のシルエットが見える。


左手には、“死の彷徨”の雪中行軍が遭難した丘陵地と、奥には下北半島の恐山周辺も見渡せた。


高田大岳から振り返ると、左から小岳、大岳、井戸岳 - 赤倉岳、左奥に岩木山。


仙人岱まで戻り、大岳へ。

青森市と津軽半島、下北半島の先端まで見えた。

すこし左には岩木山、その麓に弘前市、右は青森市。この南には白神山地、さらに鳥海山も見えた。


赤倉岳経由で宮様コースを辿れば、毛無岱へ直接出る。


毛無岱(上)から同(下)を見下ろすのは独特の眺めだ。

東北のハイカーは尾瀬に行く必要はない

ほどなく、黄金色に包まれた酸ヶ湯に下山する。


この日の山行は、本州最北に連なる山々の地理、山容、地勢、風土、植生、色彩、眺望などの特徴を改めて吟味する上でも、今回の山旅のクライマックスだった。

これまで、この東北の比類なき山々を知らずに、少しは日本の山を知ったふうに感じていた自分が恥ずかしい。今まで俺が登っていた山は何だったんだろうか、とさえ思った。

下山後、十和田湖から見た八甲田。

【行程】 酸ヶ湯温泉 - 1h05m - 仙人岱 - 1h00m - 高田大岳 - 1h05m - 仙人岱 - 30m - 大岳 - 40m - 赤倉岳(休 25m) - 1h45m - 酸ヶ湯温泉




ところで、八甲田といえば自ずと想起する、


世界山岳史上最多といわれる犠牲者を出した遭難事件。件の五連隊は、210名中 死亡者は199名であったが、生存者も居ただけにその記録はリアリティに溢れ、それに基づく小説・映画の内容は生々しい。


下山後、その地に寄ってみた。無雪期は何てことない平和な丘である。

記念館には、行軍中(左)や、事後捜索中(右)などのリアル写真が展示されている。

遺体発見の様子(左)や、生存者(右)の写真も。

両連隊の装備も。

太平洋戦争開戦の経緯とかも思いだし、日本人の集団心理や愚かな指揮系統の一面を再確認した。

雪山は怖い。が、ヒトはもっと恐ろしい。

2 件のコメント:

  1. 酸ヶ湯温泉は ザ温泉て感じですよね。八甲田山も小さい時にTVで見て、おかしくなっていく様が恐かった思い出があります。雪がなければとても綺麗なところなんですね

    返信削除
  2. そうそう、酸ヶ湯とその周りの紅葉だけでも見に行く価値があるかと思いました。これ、CMに使えるなぁ、なんて思いました。

    雪の八甲田も素敵なところなのだと思いますが、悪天候はやはり地獄らしいです。。

    返信削除