高天原にもっと居たかったが、カゲロウの一生とリーマンの休みは短いので、そうもして居られない。
前日まで歩いていた稜線が標高的に「高」なら高天原は「低」で、雲ノ平は「中」にある。今日は「低」から「中」を散歩し、「高」まで戻らなくてはいけない。要はそこまでしてでも、フロに入りたかったワケである。
雲ノ平に登ると、周囲に堂々たる山々が色々な表情を見せながら、ドスンと居座っていて見飽きることがない。ここからぐるりと見渡すだけで、百名山が4つ(薬師岳、黒部五郎岳、鷲羽岳、水晶岳)も間近に聳えている。
雲ノ平の木道をてくてく歩いていると、珍客が俺の周りを素速っこく走り回っているのに気づいた。ナキウサギである。鳴き声はよく聞いたが、その姿を見るのはこれが初めてである。
水晶岳↑は最も美しい山の一つだと思う。写真に収めるだけのウデが無いのが残念だが、あの黄緑と緑とダークグレーのストライプを呈する山容は忘れることができない。
水晶岳登頂後、いわゆる裏銀座の稜線上を行く。
最初に迎えてくれるのは、野口五郎岳↑の白い世界。これを乗り越えると野口五郎小屋(5泊目)。この小屋もいい山小屋だった。ここで知り合った人と消灯まで飲み、腹が痛くなるほど笑った。でも何の話だったのか、次の日全く覚えていなかった。4人で飲んだが、翌朝皆バラバラの方向へ散った。俺は、今まで南下してきたが、ここからは逆に北上することになる。
*) 歌手の野口五郎はヘリで何度かやってきたが、悪天候のため結局一度も入山していないそうだ(山小屋ご主人談)。名前を貰っておきながらバチ当りな奴である。てか、歩いて来いや!
*) 小屋で一緒に飲んだSさんは、黒部五郎小屋を朝出発した。“野口五郎”は歌手の名でもあるが、“黒部五郎”って奴もナンか居たハズだ!と一日歩きながらずっと悩んでいた。夕方、「あ、黒板五郎だ!」 ・・・結構惜しかったらしい。
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